見透かされているアメリカ
シリア攻撃:米の正当性疑問 西側同盟国に広がらぬ支持
オバマ大統領が30日に示したシリア攻撃の必要性の主な根拠は、(1)多数の民間人が化学兵器で死亡(2)アサド政権による再度の化学兵器使用の可能性(3)化学兵器使用を黙認すれば、テロ組織や独裁国家による将来の使用を招きかねない(4)イスラエルなどシリア周辺の同盟国の安全が脅かされている--の4点。大統領はこれらを検討した結果「化学兵器使用を禁じる国際規範の違反は米国の安全を脅かす」と結論付け、攻撃の正当性を主張した。
しかし、現時点で米国や同盟国はアサド政権に攻撃されておらず、個別的・集団的自衛権に基づくシリア攻撃の正当化は困難だ。(石油の利権を含む中東の地政学的覇権の拡大という不純な動機が見透かされている)

安保理で武力行使容認決議の採択を求める努力についても、オバマ大統領は記者団に「安保理は国際規範の違反を明確にすることに現時点では無力だ」と述べ事実上放棄した。
自衛権にも安保理決議にも基づかない攻撃の前例には、1999年にクリントン米政権(当時)が住民虐殺の阻止を目的としたユーゴスラビア空爆がある。だが、ユーゴ空爆が北大西洋条約機構(NATO)の総意だったのに対し、今回のシリア攻撃では「特別な関係」の最大の同盟国・英国が参戦を断念。フランスを除く主要国の間では米国への賛同が広がらず、国際協調を旗印にしてきたオバマ政権の「単独主義」が際立つ皮肉な状態だ。(ジャイアンの尻馬に乗っている日本はスネオである。のび太ではない)

オバマ大統領は記者団に、軍事行動は「限定的」だと説明、アサド政権打倒を目指すものではないことを強調した。28日の米公共テレビPBSのインタビューでも、シリア内戦は交渉で解決されるべきだとの考えを示した。
だが、米国営放送ボイス・オブ・アメリカは30日、米専門家の「米国に攻撃されれば、アサド大統領が内戦終結の交渉に応じる意欲は一層低下する」との分析を踏まえ、オバマ政権の見通しの甘さを指摘した。
米シンクタンク・ブルッキングス研究所のケネス・ポラック上級研究員は30日付の米誌ニューズウィーク(電子版)で、アサド政権打倒を回避し「限定的攻撃」でシリア情勢への関与を徐々に深めるオバマ政権の選択を「最悪」と批判する。
化学兵器の再使用を防ぐとの目標についても、シリア側は攻撃を想定して装備や要員の退避を始めており、想定した標的をたたける保証はない。追い込まれたアサド政権側が暴発する懸念もある。
米NBCテレビが30日公表した世論調査結果では、50%がシリア攻撃に反対。シリア攻撃が「米国の国益になる」と答えた人は21%にとどまり、オバマ政権の説明は、米国民にも届いていない。
アサド政権が化学兵器使用=日本の外務省幹部認める
同幹部は「化学兵器の使用は断固許されない。明らかな国際法違反で、それはアサド政権によってもたらされた。シリア政府に責任がある」と強調した。 (2013/09/07-01:42)
また、メクダッド副外相は「(議会での承認を表明した)オバマ大統領は明らかにおじけづき、うろたえていた」と指摘。政府系紙アッサウラは「オバマ大統領は米国の歴史的な撤退の始まりを宣言した」と論評する社説を1面に掲載するなど、アサド政権は米国の「弱腰」を強調している。
一方、AFP通信によると、シリアの反体制組織「国民連合」のナシャル幹部は「(オバマ氏の決定に)われわれは失望した。もっと早い動きを期待していた」と述べた。
(2013.09.29追記:なお、世襲制のアサド政権にはそれなりの大きな問題があることは北朝鮮と変わらない。現政権は決して清廉潔白の人道的な政権では決してない。つまりは、シリアの将来はシリア国民の判断に任せればよいということであって、強欲な他国が介入する必要はないという点ではなかろうか)
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