前回はアメリカ両大陸を代表する大都市、ニューヨークとサンパウロでのサンプル採集の成果をご紹介した。次はどこにするかはすでにその前に決めていた。読者の中には次はヨーロッパだろうと思ったひとがいたかもしれない。ヨーロッパはアメリカ同様フィラメントが見つかるのはほぼ確実だろうとわたしは思っていた。なので、優先順位はむしろ低かった。わたしが次にどうしても確かめたかった大陸はアフリカだった。フィラメントが全く見つからない国があってもおかしくないと思ったのだ。なお、わたしは仮説としてワクチン接種者が多い国と少ない国とでは採取されるフィラメントの量が大きく違うかもしれないと考えていた。
そこで、同じアフリカでも、ワクチン接種キャンペーンがグローバルに吹き荒れた当時ワクチンの接種率の高かった国と低かった国とを調べ上げた。そしてワクチン接種率が特に高い国の1つがルワンダだった。そして、接種率が特に低くて大きい国がマダガスカルだった。

この事実をネットでリサーチして確かめた時点で、この2つの国に行くことに決めた。他は行かない。金も無いし、この2か国だけで十分だ。どちらもよく知らない国だ。ルワンダはフツ族とツチ族の民族問題で1994年に大虐殺が起きた国だ。そんなに昔のことではない。マダガスカルは私の好きなカメレオンの原産地だ。さて、両国とも首都に2泊3日することに決めた。ルワンダの首都はキガリ、マダガスカルの首都はアンタナナリボという。失礼ながら、どちらの首都の名前も、見たことも聞いたこともなかった。そもそもアフリカに行くこと自体が初めてであった。



どちらの首都でも日本人はほとんど見かけなかった。日本人どころか、そもそも観光客が少なかった。すべての都市は観光都市であると言えるかもしれないが、キガリとアンナタナナリボはかなり地味だと思う。
キガリ(ルワンダ)


街を歩いていると、障害者をよく見かける。腕がない、足がない、目がない。両足の無いいざりが歩道を這っている。彼らのほとんどは32年前のジェノサイドで死なずに済んだ幸運な虐殺サバイバーなのだ。わたしは海外旅行先で物乞いにつきまとわれても何もあげない主義だった。しかし、ここルワンダで片目のつぶれた赤ん坊を抱いて物乞いをしている母親が行く先に見えたとき、その原則をあえて崩した。紙幣を握らせて立ち去ったが、正直言って、いい気分になっている自分がいた。なるほど、物乞いに金をやるというのはこんなにも気持ちのいいことなのか。これは病みつきになるわい。くわばらくわばら。




レストランでワクチンについて訊くと、「自分は2回だが、周りの人もほとんど2回以上打っています」とのことだ。アフリカでは多い方かもしれない。ルワンダは特に接種率が高い国の1つということで今回選んだ国だ。それと関係があるかどうかは不明だが、フィラメントは至る所で発見された。タクシー、ホテル、レストランのどこで採取したダストサンプルにもフィラメントは見つかった。北京、上海、ソウル、台北、ニューヨーク、サンパウロとほとんど変わらない。
アンタナナリボ(マダガスカル)

アンタナナリボの街を歩くと、若者が多い。国民の平均年齢20代(日本は49歳)、平均寿命60代(日本は80代)。

ホテルの従業員を誘って、市内のイタリアンレストランで一緒に食事した。彼は英語とフランス語ができるので、いろいろ話ができた。彼によると、その店は街で有数の高級レストランで、1回の食事は彼の1か月分の給料に相当するそうだ。彼は生まれて初めて口にしたワインに感動していた。ワクチンの話をすると、彼も含めて、打っている人はほとんどいないようだ。ごく一部の金持ちが特権的に打っているようだ。(笑)自分の国が貧しいためにワクチンを打てないことを恥じている様子だったので、わたしも打っていないし、打たなくて正解なんだよ、と言ってやった。

アンナタナナリボもキガリもアフリカなのにさほど暑くない。日が落ちると涼しいくらいだ。調べてみると、どちらの都市も、「熱帯にありながら、標高のおかげで一年中穏やかで過ごしやすい熱帯高地気候」なんだそうだ。両都市の標高は1,300メートル前後。
ダストロジー海外篇(4)アフリカ
キガリ(ルワンダ)でのダストサンプル採取場所リスト
それぞれの場所で採取したフィラメントの大量の画像がアーカイブとして自由に閲覧できるようにしてある。 → ダストロジーアーカイブ

アンタナナリボ(マダダスカル)でのダストサンプル採取場所リスト

この記事では紙面の制約があるので、以下にタクシーとホテルのテレビに限定して、キガリとアンタナナリボの両都市でのフィラメント汚染状況を比べてみた。よく比較してほしい。キガリはアフリカでも接種率の高いルワンダの首都、アンナタナナリボはアフリカでも特に接種率の低いマダガスカルの首都である。結論を先に言うと、ほとんど差はない。どちらにも同じくらいに、フィラメントは見つかる。両都市におけるフィラメント汚染の度合いは東京、北京、上海、ソウル、台北、ニューヨーク、サンパウロと大して変わらないのだ。
ワクチン接種率と社会環境のフィラメント汚染率とのあいだには何の関係も無いように思われる。
タクシーで採取のフィラメント
キガリのタクシー




アンナタナナリボのタクシー


ホテルのテレビで採取のフィラメント


キガリのホテルのテレビ





アンタナナリボのホテルのテレビ




それぞれの場所で採取したフィラメントの大量の画像がアーカイブとして自由に閲覧できるようにしてある。 → ダストロジーアーカイブ




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