スーパーシューマン 7.83実験報告
以下は、過去6ヶ月間にわたりハイエンド・オーディオシステムにおいてSuper Schumann7.83の性能についてさまざまな角度からテストしてきた実験報告である。
1. 設置条件
まず2台を設置することから始めた。これをレベル1とする。次いでさらに2台を設置し、計4台となり、これをレベル2とする。さらにこれを倍にした8台を、レベル3とする。最後のレベル4は、レベル3の8台に4台を追加した12台である。
Super Schumann7.83(以下 SS7.83)の使用において設置場所は効果を大きく左右する。設置には次の3つの要素がある。平面図的位置、高さ、向き である。今回の実験に使用したオーディオルームの広さは約 4 m x 5 m である。
平面図的位置: 部屋のほぼ4隅にSS7.83用の棚を設置した。2つのスピーカーのそれぞれの後ろのコーナーに棚を作り、そこにSS7.83を1台ずつ載せた。部屋の反対側のリスナー席の後ろの左右の2つのコーナーにも棚を作り、そこにSS7.83を1台ずつ載せた。
高さ: 棚の高さは床から少なくとも 180cmを確保した。そして、SS7.83はコーナーの2つの壁から 30cm の余裕をもって離して棚に置いた。
向き: 部屋の4隅の場所に設置された長方形のSS7.83 は 部屋の壁に対して平行ではなく、部屋の中ほどに向けてすべて約 15度の角度だけ回転させて設置された。
なお、SS7.83 はその本体のLED ランプ側をだいたい部屋の中ほどに向に向けて設置してあると考えて頂きたい。
この向きの角度は微妙に音質に影響する。最初は15度でスタートしたが、最終的には 15度でも30度でもなく、25度がベストであった。この角度は部屋のタテヨコ比、形状にも関係しているはずである。今回の実験で使用した部屋は約4 m x 5 m であったが、これが正方形であったら、角度はもっと大きくすべだったかもしれない。
レベル1では、2つのSS7.83 はスピーカーの後ろに設置された。
レベル2では、追加の2台はリスナー席の後ろに設置された。
レベル3では、レベル2の4台のそれぞれの上に1台ずつ上乗せした。
レベル4では、その4箇所の SS7.83 のそれぞれの“山”の上にさらに1台ずつ上乗せし、最終的には4箇所の棚にそれぞれ3台のSS7.83が積み重なって載っている格好になった。
2.パラメーターと音質向上
以下の7つのパラメーターにしたがって、4つのレベル毎に観察記録を取った。
- ディテールの解像度
- トナリティー(音色の自然さ)
- 躍動感と音の立ち上がり
- 透明感
- 臨場感(奥行き、水平感(広がり)、垂直感(高さ))
- 臨場感(実在感)
- 臨場感(連続性)
レベル1では、ほとんどのパラメーターにおいて驚くほどの向上がもたらされた。特にパラメーター1、 4、 5、 6、 7 である。向上の度合いが比較的少なかったのは 2 と 3 であった。
レベル2,3,4とSS7.83 の数が増えていっても、効果の逓減(頭打ち)はみられないようであった。レベルを上げ、SS7.83の数が増えるのに伴ってすべてのパラメーターの音質もそのまま向上し続けた。この向上のペースはSS7.83の数の増加に比例していた。今回は12台までであったが、さらにレベルを追加して台数を増やしていっても同じペースでの向上が見込まれる。
パラメーター 1. ディテールの解像度
レベルが上がるごとにディテールの解像度は上がった。前のレベルで聴こえなかった繊細なディテールが聴こえるようになった。シューシューという音が、レベルを上げるごとに減少した。さらに、低音部はより引き締まってはっきりしてきた。
パラメーター 2. トナリティー(音色の自然さ)
今回のオーディオシステムでは、このパラメーターに関しての影響は受けないように思えた。
パラメーター 3. 躍動感と音の立ち上がり
このパラメーターもレベルを上げるごとにたしかに向上したが、その向上の度合いは他のパラメーター(1、4、5、6、7)で観察されたほどではなかった。
パラメーター 4. 透明感
レベルが上がるごとに透明感の著しい向上がみられた。このパラメーターはパラメーター 6. の臨場感:実在感 と密接に結びついていた。両者は手をつないでいるようにいっしょに変化した。
パラメーター 5. 臨場感(奥行き、水平感(広がり)、垂直感(高さ))
レベルが上がるごとに臨場感はすべての方向において拡大するように思えた。このパラメーターの向上は、パラメーター 1、4、6、7 における向上によって十全なものになっていた。
パラメーター 6. 臨場感: 実在感
レベルを上げるごとに観察されたうちでも最も顕著な向上がみられたのが、この臨場感(実在感)であった。このパラメーターの向上はパラメーター 1. ディテールの解像度:の向上によって十全なものになった。このパラメーターにおける最も明らかな向上は個々の楽器とボーカルの分離に関するものであるが、より具体的には個々の楽器音と個々の声のどちらにおいても周りの空気がより多くあるように感じられた。この向上はパラメーター 7. 臨場感(連続性)においても認められた。その意味は、個々の楽器音や個々の声が空気に包まれて宙にふわふわしているというのではなく、一貫した連続性によって特徴づけられるサウンドステージからの音として聴こえるということである。
パラメーター 7. 臨場感:連続性
この臨場感(連続性)というパラメーターは、録音メディア再生の音質とリアルの生演奏の音質との違いに関わるものである。コンポーネントやケーブルやその他の付属装置を擁するハイエンドなオーディオシステムは、実際の演奏のサウンドを忠実に再現するものではないと理解されている。システムサウンドによる音楽再生は、必然的に現実の演奏の“音質UPバージョン”となる。実際の演奏状況が多くのオーケストラ演奏のように複雑な場合、パラメーター 1. ディテールの解像度 とパラメーター 6. 臨場感(実在感) は通常“ミュート”されて、耳に届かない。しかし、高度に設計されたオーディオシステムの出力レベルでは耳に届く。言い換えると、楽器の種類や声の数という点で録音が複雑であればあるほど、ディテールや繊細さというパラメーターにおける伸び代は大きくなると言える。ライブ演奏やスタジオ演奏においてはこうしたサウンド体験は得られない。なぜならば、そうした生演奏の状況ではディテールや繊細さは個々の独立性を失って相互に溶け合いながら合流するからであり、そこにおいては高性能のハイエンドシステムで初めて耳に出来るような個々の音を仕切る“空気” が存在しないからである。
結論
スーパーシューマン 7.83は今回使用したハイエンドシステムのパフォーマンスを予想もしないほどのレベルにまで引き上げた。この装置は今までにこのハイエンドシステムに追加してきた最も効果のある音質向上手段のうちの1つであることは間違いない。しかし、どんなシステムについても言えることであるが、音質向上というものはシステム依存的な面がある。SS7.83による音質向上はそれぞれのシステムの独自性との相乗効果に依存せざるを得ない。音質向上はオーディオ環境に大きく左右される。