本当にユビキタスか?
昨年の最後の記事「ダストロジー(6)品川駅コンコースで採取」で、酸化グラフェンのフィラメントは「ユビキタス」と言った。ユビキタス(ubiquitous)とは遍在的、どこにでもあることである。「地球上に炭素は ubiquitous である」「今やスマホは ubiquitous で世界のどこに行っても人々が使っている」というふうに使う。それでは、ダストロジーが対象とする酸化グラフェンのフィラメントは本当に「ユビキタス」なのか?日本だけでなく世界中の生活環境でも同じように見つかるのか?そもそもこのフィラメントが日本以外のどこかの国でもセロテープで同じように見つかるのか?
北京、上海、ソウルでセロテープペタペタ?
昨年、この問題にぶち当たり、いろいろ考えた。しかし、みずから海外に行って日本と同じようにセロテープでダストサンプルを集めてくるしかないという単純な結論に達した。(笑)
それではどこに行くのか?まずは近場として中国と韓国の2か国に行くことに決めた。台湾も行きたかったが、予算の都合で断念した。北京に飛び、北京から上海に高速鉄道で移動、上海からソウルに飛び、ソウルから帰国するという計画だ。日本以外の国でも酸化グラフェンのフィラメントがセロテープ貼り取り法で見つかるか見つからないか、とにかく行って自分で確かめるほかはないのだ。

実はわたしには中国にも韓国にも協力的な友人がいるのだが、どちらも今回予定していた都市以外に住んでいる。そもそも中国では国民の国外の外国人とのメールのやりとりはすべて中国政府管轄のネット監視部門によってすべて検閲されている。このことは何年も前に確認済みだ。もしサンプル収集の仕事を彼女に依頼したりすれば、彼女に大変な迷惑をかけることになってしまう。彼女は中国の警察に呼び出されて何時間も取り調べを受けることになるだろう。けっきょく、今回のこのサンプル収集の仕事はすべて自分ですべきフィールドワークと割り切り、2人には頼まなかった。仮に頼めたとしても、うまくやってくれるという保証はないのだ。実際、人に頼んでうまくいくことは滅多にあるものではない。自分でやる。それがいちばん間違いない。
しかし、その気になれば自分で確かめることができるというだけでも幸運ではないだろうか?世の中には専門家でもない人間には確かめようがないことがたくさんある。AI にも答えられないことだって、いくらでもある。ある意味でダストロジーの地平は大きく開けている。広大な地平を前に立っているのは「ダスト」にとりつかれた妄想家?ま、とにかく、決して行き止まりではないのだ。パスポートも持っている。証拠をひっさげて帰ってくればいいのだ。簡単なことだ。違うだろうか?
ダストサンプルの収集ツアーはほぼ成功?
北京、上海、ソウルの各都市の駅に貸しロッカーがあることを事前に確かめた。日本の東京駅、池袋駅、新宿駅、渋谷駅、品川駅、横浜駅の貸しロッカーではすでにサンプル採集済みだ。比較が楽しみだ!貸しロッカー以外にも空港、機内、タクシー、ホテル、レストランといった行く先々でも「セロテープペタペタ」をするつもりだった。そして、おおかた計画通りに実行し、サンプルは十分すぎるほど収集できて、サンプル収集ツアーは成功裡に終えることができた。特にトラブルや大きな障害がなかったのが拍子抜けするくらいだ。
で、肝心の酸化グラフェンは見つかったのか?
ダストサンプルは収集できても、その中に日本で見つかるような酸化グラフェンのフィラメントと同様のものが見つかるかどうかは別問題だ。結論を先に言っておこう!「セロテープペタペタ」をして持ち帰ったすべてのダストサンプルから酸化グラフェンのフィラメントが見つかった。日本と同等かそれ以上の量が見つかった。採集したサンプルの中で酸化グラフェンが全く見つからなかったケースは皆無であった。
もちろん、酸化グラフェンが東アジアの3カ国(日本、中国、韓国)でが見つかったからと言って「ユビキタス」であると主張するのはおこがましい。しかし、少なくとも日本だけではないことは証明された。複数の国で見つかることが明らかとなったのだ。わざわざ海外まで行って集めてきた甲斐があったと思っている。


北京駅の貸しロッカー 上海駅の貸しロッカー


ソウル駅の貸しロッカー (比較せよ)東京駅の貸しロッカー
東アジアの4都市の貸しロッカーのてっぺんで採取されたフィラメントである。注意:それぞれ100以上あるサンプル画像から任意に選び出した画像である。それぞれがそれぞれの4都市の典型例でもないし、4都市を象徴しているわけでもない。フィラメントの多さ、密度の差はさほど重要ではない。大事な点は、1)いずれも似たようなフィラメントが見える 2)青いフィラメントが多い 3)青以外の色もある 4)非常に長いフィラメントが多い、の4点で、これが共通している。
もし1国でも見つからなかったら?
いや、仮に見つからなかったとしても、「見つからない」ということじたいが、それはそれで「大きな発見」となったことだろう。たとえば、北京、上海、ソウルの3つの都市のうちどれか1つではほとんど見つからなかったということであれば、そこには当然理由があるはずだ。どうしてその都市では、その国では見つからないのかを追究する必要が出てくることになる。そのほうが展開としては面白い?しかし、実際はそうはならずに、当初のごく平凡な「ユビキタス仮説」を裏付ける方向に踏み出している。
セロテープ貼り取りによる証拠保存のメリット
さて、ビールや緑茶の場合と違って、ダストロジーでは酸化グラフェンのフィラメントをセロテープでスライドガラスに物理的に固定できるという強みがある。ビールなどの場合は液体中の当のフィラメントを固定して保存することは素人にはほとんど無理である。仮に液体の状態でバイアルに密閉しても、月日が経つと変質してしまう。なので、画像や動画としてデジタル化して固定・保存できるだけで、当のフィラメントを物理的、永続的には保存することはできない。
以下の画像は今回の画像データの元となるスライドガラスである。1枚のスライドガラスにつき数十から百枚以上の画像が撮影されている。

ダストロジーのセロテープ貼り取り法によって作成したサンプルスライドは酸化グラフェンのフィラメントをそのまま保存できている。つまり、客観的な物的証拠をいくらでも積み上げることが可能なのだ。画像(&動画)と、いつどこでどんな状況で採取したフィラメントであるかの説明というテキストデータだけでなく、スライドガラスをカタログ化して物理的アーカイブとして保管できる。画像中心のデータはデジタルアーカイブとしてブログ上で公開し、物理的なサンプルデータは特別な必要に応じて閲覧可能としておけば、証拠としては十分ではなかろうか。
ほぼすべてを公開
当ブログの今までのダストロジー記事では紙面の都合もあり、採集したサンプルの画像はごく一部だけを公開してきた。しかし、今回の海外サンプルは画像データをほぼすべて公開する。クラウドにアップロードしてあるので、どれでも納得のいくまで自由に閲覧して頂こうと思う。もちろんダウンロードすることも可能だ。ネット世界にこんなクラウドデータが他にもあったらぜひ教えて欲しい。
見る人の中には、海外遠征をして採集してきた人間自身が気づかなかったり、見落としていたりするものをサンプル画像に見つけることも大いにあり得るし、そういうことこそむしろ歓迎するところだ。
上のリンクを開くと、以下のようにフォルダ分けしてある。どれから見てもかまわない。それぞれのフォルダにはその採取場所とその時の状況を示す動画(&画像)が入っているので、最初にそれからご覧いただきたい。




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