「おまえ、反省してないだろ?」 反省とは何か?

部長「おまえ、反省してないだろ?」
部下「えっ・・・ してますよ。」
部長「全然してないじゃないか!」

そもそも「反省」とは何か?「反省する」とはどういうことを意味するのか?世間ではこの言葉はどのような意味で使われているのか?わたしは、こうしたテーマで考察する際にはしばしば広辞苑から出発する。そこに解答があるからではなく、それが考察を進めるうえでの叩き台になるからだ。

反省する: 自分の行いをかえりみること。自分の過去の行為について考察し、批判的な評価を与えること。 (広辞苑)
<用例>
「常に反省を怠らない」
「一日の行動を反省してみる」
「反省の色が見えない」
「誤りを素直に反省する」

世間一般では広辞苑のこの定義と用例に納得し満足するであろう。

まずは、こののっぺりした言説を以下のように階層分析してみる。

1)自分の行いをかえりみること。
用例: 「常に反省を怠らない」、「一日の行動を反省してみる」

2)自分の過去の行為について考察し、批判的な評価を与えること。
用例: 「反省の色が見えない」、「誤りを素直に反省する」

「反省する」という言葉にはたしかに2つの意味があると言えるだろう。1)は抽象的かつ認知的な意味であり、「自己点検をする」と言い換えることもできるだろう。2)は「過去の行為」という風にニュートラルな表現ではあるが、通例「過去の過ち」であるので、そのように絞り込むべきであるように思える。

ここで、Gemini AI の意見を訊いてみた。

Zaurus: 「反省しているのかよ?」の 反省する とはどういう意味か

Gemini: 「反省する」とは、単に「ごめんなさい」と謝ることではなく、自分の過去の言動を客観的に振り返り、何が悪かったのかを認めて、次はどう改善するかを考える行為を指します。
「反省しているのかよ?」と言われる場合、相手はあなたの「謝罪の言葉」よりも、「自分の非を正しく理解し、繰り返さない姿勢」があるかどうかを問い詰めている可能性が高いです「下線のフレーズじたいの問題については右の記事を参照→「可能性が高い」は詐欺的では?と Grok AI に質問したら、何と、強く同意?」)。

a. Gemini は「反省しているのかよ」という文脈では、明らかに、上掲の 2)の意味に解釈しているが、「過去の過ち」だけでなく、それについての「過去の謝罪」までも前提にしているように取れる。

b. Gemini は「自分の過去の言動を客観的に振り返り、何が悪かったのかを認めて、次はどう改善するかを考える行為を指します」と、タイムスパンを後方だけでなく、前方にも伸ばしている。

 

a. の問題点: 2の意味であっても、「反省」には「過去の過ちについてなされた謝罪」が先行し、前提となっているかのように解釈するのは行き過ぎではないか?部下のミスが先行していたとしても上司や同僚に謝罪していたとはかぎらない。当人は些細なミスだと思って頭を掻いて「いけねー!」で終わっていたかもしれないのだ。そうではあっても、上司は「反省してないだろ」とか「反省しているのかよ」とツッコミを入れることができるだろう。つまり、仮に謝罪は無かったとしても、少なくともそのミスの責任が自分にあることは認めているという前提はあるだろう。

しかし、被害の責任承認が先行していることは明らかではあっても、被害の責任承認がそのまま謝罪とは限らないのだ。責任が自分にあることを認めていても謝罪をしないケースは珍しくない。「この程度のミスなら、大目に見てくれたっていいじゃないか」とぼやいているひとは「謝罪」をしているとは言えないだろう。

b.の問題点: Gemini の解釈は現在というタイムポイントから後方へ「過去の謝罪」を不当に投射しているが、前方には「次はどう改善するかを考える行為を指します」と話を盛っている印象がある。反省はたしかに「過去の過ち」を前提にしているが、だからといって、そのまま自動的に「過去の過ちについての謝罪」があったことにはならない。
いっぽう現在のタイムポイントから前方には、せいぜい「再発防止のために努力する」ことが意味されているだけであって、「改善」までは含意されていないのではないか?たとえば、最後に退社する社員が消灯するきまりなのに、点けっぱなしで退社した社員がいたとする。彼にできることは「再発防止のために努力すること」だけだろう。つまり、消し忘れのミスの回数をゼロにするだけであって、照明の点灯・消灯について何らかの改善を考える余地はほとんどないのだ。「ミスの回数ゼロ」が天井であって、その上に無理やり伸びしろを設ける必要はないのだ。違うだろうか?

 

話を整理しよう。広辞苑による2つに分けた解釈は基本的には正しい。

1)自分の行いをかえりみること。(「自己点検をすること」ザウルス)
2)a. 自分の過去の行為について考察し、b. 批判的な評価を与えること。

「反省」という言葉は実際は、2)の意味に使われることが圧倒的に多いように思える。

ただし、2)の a. と b. はかなり改善の余地があるだろう。いっぽう参考にするために話を振ったGemini による解釈は辞書的定義をオーバーランしていないだろうか?2)の定義としては、広辞苑の緩すぎる定義を煮詰め、 Gemini の恣意的で盛り過ぎの定義を抑制するかたちで、以下のような定義に着地できるかもしれない。

  2)すでに過ちがなされている前提で、その過ちの再発防止のために努力すること

これを1)とセットで整理すると以下のようになるだろう。

 

反省、反省する  (ザウルス的定義)

1)自己点検をすること
2)すでに過ちがなされている前提で、その過ちの再発防止のために努力すること

この定義に照らして、以下の用例を吟味して頂きたい。

「あなた、反省してるの?」
 「はい、反省してますけど・・・」
「ぜんぜん反省しているように見えないんだけど」
 「えっ、そうですか?」
「だって、また同じクレーム入っているわよ、今朝も!」
 「えっ、そうなんですか?」
「あなたの“反省してる”って、口だけね。ぜんぜん仕事に反映してないじゃないの!」
 「す、すみません・・・」

 

反省する」がほぼ「再発防止のために努力する」と同義であることがお分かりいただけるであろう。

「反省してるの?」=「努力してるの?」 なのだ。「反省」は文字づらとは裏腹に決して後ろ向きの行為ではなく、今現在の進行形の行為と理解されているのではないか?

 

“謝罪”とは何か? “謝罪する”とはどういうことか?

 

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